
テレビの『ARC』は、何に使うの?どんな便利なことがあるの?分かりやすく教えて欲しいな・・・
こんな質問にお答えします。
・ARC(オーディオリターンチャンネル)について分かります
・eARCについても解説します

映像機器の設計・開発エンジニアのうましが解説します。
ARCを分かりやすく解説
ARCとは
ARCを解説する前に、まずは『HDMI』という規格について簡単にご紹介します。
僕(30代)が子どもの頃は、スーパーファミコンが大流行していました。スーパーファミコンでは、こんなケーブルを使っていました。黄色が映像、赤が音声(右)、白が音声(左)です。
この3本のケーブル(RCA)は、『アナログ』と呼ばれるタイプの信号で、劣化しやすく画質はあまり良くありませんでした。HDMIは、この3本のケーブルと異なり、劣化しない『デジタル』の規格、しかも映像と音声を1本のHDMIケーブルで送ることができます。ARCはHDMIの機能の1つになります。
ARCは、オーディオ・リターン・チャンネル(Audio Return Channel)のことで、HDMIの音声に関する便利な規格です。日本語に訳すと「音声が返る道」で意味が分かりづらいですが「音声を出すための機能」と考えてもらうと理解しやすいかと思います。
ARCのメリット
「ブルーレイプレイヤーとテレビを直接接続する」「音声はテレビのスピーカーで十分」という方は、ARCは特に意識する必要はありません。ARCの恩恵を受けるのは、サウンドバーなどのオーディオ機器を活用して「高音質を楽しみたい」という方です。
ARCのメリットは、使用するケーブル(光ケーブル)を減らせるということです。まずは、ARCに対応していない機器の接続をご紹介します。
ポイントは、テレビに搭載されているHDMIは『入力』ということです。そのため、テレビのHDMIからオーディオ機器に音声を送ることができません。そのため、音声を送るための『光ケーブル』を用意して、テレビからオーディオ機器に音声を送る必要があります。光ケーブルを用意する手間、そして配線が複雑でかさばります。
次は、ARCを活用した接続をご紹介します。ARC対応のHDMI入力は、音声を出力することが可能です。念のためにお伝えしておくと、テレビだけではなくオーディオ機器もARC対応であることが必要です。ARC対応の場合は、HDMIケーブル1本(光ケーブルは不要)で、テレビとオーディオ機器を接続することが可能になります。
ARC対応のHDMI入力には『ARC』の表記があります。ARCでの接続をご希望の方は、ARC対応のHDMIであることを確認して接続してください。
eARCとは
eARCの『e』はエンハンスド(Enhanced)、つまり強化されたARCのことで、データ量が多すぎて従来のARCでは送ることができないようなグレードが高い音声規格もeARCなら送ることが可能です。
例えば、映画館のような施設でも活用されている『ドルビーアトモス(立体音響技術)』もeARCなら送ることができます(オーディオ機器がドルビーアトモスに対応している必要があります)。
まとめ
「音声はテレビのスピーカーで十分」という方は、ARCの恩恵はないかと思いますが、「テレビはオーディオ機器に接続して迫力の高音質で楽しみたい」という方の場合は、光ケーブルを用意する手間もなくなり、配線もシンプルにすることができるARC(eARC)は、とても便利な技術かと思われます。知っていて損はないかと思いますので、ぜひARC、eARCのことは覚えておいてもらえればと思います。