【実話】事業継承の難しさ|一族の財産を食いつぶした実話

育児と教育

【実話】事業継承の難しさ|一族の財産を食いつぶした実話

道明さん(仮名:35歳)

「3代目が財産を食いつぶすということを自分が証明することになるとはね」

「三代続けば末代続く」という言葉があるんです。これは3代目が家業を傾かせることが多いけど、逆に3代目が堅実ならばその一族は末永く繁栄するという意味だけどまさか自分がその言葉の正しさを証明するとは思わなかった。まあ悪い意味でだけどね。

僕の祖父は地元では超有名な起業家でした。1950年代に「プロパンガス」が都市部で普及し始めたんだけど、その当時は今のようにインターネットがあるわけでもないし技術が日本全土に浸透するのには数年単位の時間がかかる時代だった。だから僕達が住んでいる田舎ではまだプロパンガスという言葉自体浸透していないような状態だった。

その時期にプロパンガスの可能性を信じ、都市部の会社を参考にして地元にプロパンガス関連の会社を起業したのが祖父だった。プロパンガスのボンベの回収・補充をして家庭に配るサービスで祖父は1代にして莫大な富を築くことができた。祖父はビジネスマンとしても一流だったけど、とても優しい性格で地元の人達からの人望も厚かった。自治体に消防車や救急車を寄付したり、介護施設に寄付をしてサービスや従事者の福利厚生の向上に貢献したり、災害時には物資を確保して無償提供したり、孫の僕から見ても祖父はとても偉大な人物だったと思う。

祖父は「トップは下積みを経験すべき」という考えの人だったから、後継者になる父は高校卒業後に平社員からスタートして会社のトイレ掃除、ごみの分別、他にも誰もやりたがらないような雑用を全てさせられ、1番安い給料で働き、1番祖父から怒鳴られて鍛えられたらしい。だから父を見た社員は

「社長の息子なのに1番頑張ってえらいね」

そんな感じで社員も父を温かい目で見守ってくれていた。そして、ようやく40代で父は祖父から社長の座を引き継いだ。父も優秀な経営者だったけど、祖父もまだまだ現役で会社経営は順調だった。

ちょっと僕の生い立ちを紹介させてもらうと僕は生まれた頃から本当に恵まれた人生だったと思う。お金で苦労したことは1度もなかったし、欲しい物は何でも買ってもらえた。中学生になると僕の一族が裕福だということを理解している年上の女性が僕に寄って来るんだ。だから僕は中学生の頃には複数の女性と性的な関係を持つのが当たり前になっていた。

僕はあらゆる「欲」に対して我慢をするということと無縁の人生だった。祖父や父の影響で裕福で女性に困らない人生を送れていることを僕は勘違いして「自分は選ばれし人間」のように考えていたよ。これらが一族に迷惑をかける原因になるとは知らずにね。

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