テレビやモニターのカタログを読みたいけど用語が難しくて分からない・・・
うましハードウェアエンジニア歴15年で、HDMI機器の設計・開発をしている映像のプロが、モニターやテレビの用語を簡単に解説します。
4Kテレビやモニターのカタログに出てくる用語をまとめて簡単解説します。ひととおり目を通してもらえるとカタログの内容を理解してもらえるかと思います。
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テレビ・モニター用語辞典
パネル方式(TN・VA・IPS)
TN方式、VA方式、IPS方式に分けられます。最近の4Kテレビでは、パネル方式を非公開にしているメーカーも増えています。
◆TN方式
・低価格で応答速度は速いが、ななめから見ると黄色くなる。画質は低め。ゲーミングモニターや低価格のモニターに使用される多い。
◆VA方式
・コントラスト比が高いため正面からの画質は美しいが、ななめから見ると白くなる。応答速度が3つの方式で最も遅く、動きが激しいゲームには向かない。4Kテレビに使用されることが多い。
◆IPS方式
・視野角がとても広く、ななめからでも美しい映像を楽しめるが、価格が高い点と正面はVA方式に画質でおとる。ハイグレードのモニターや4Kテレビに使用されることが多い。
表面処理(グレア・アンチグレア)
モニターやテレビの表面処理には、グレア(光沢)とアンチグレア(非光沢、ノングレア)の2種類に分けられます。
◆グレア(光沢)
・美しい色を楽しめるが、照明などを反射しやすく目が疲れやすい。
◆アンチグレア(非光沢)
・表面がつや消しのようになっており、照明を反射しにくく目が疲れにくい。しかし、映像の美しさではグレアにおとる。現在の4Kテレビやモニターでは主流。
バックライト(エッジ型・直下型)
液晶パネルを表示するための方式です。LED方式が主流で、さらに『エッジ型』『直下型』の2種類に分けられます。直下型はセールスポイントになるため、『直下型』と強調していない場合はエッジ型の可能性が高いです。
◆エッジ型
・低コスト・薄型にしやすいが画質は直下型におとる
◆直下型
・コントラスト(色のめりはり)が良く画質は良いが高コスト。厚みが生じやすい
左:エッジ型 / 右:直下型
引用:東芝ライフスタイル株式会社
解像度
縦と横のピクセル(ドット)の数です。4K(3840×2160)の場合は、横に3840個、縦に2160個のピクセルが並んでいます。
アスペクト比
縦と横の比率を表します。現在は16:9が多いです。『4K(3840×2160)』『1920×1080』も16:9です。
・3840:2160 = 16:9
・1920:1080 = 16:9
リフレッシュレート
1秒間に何回の描画を行うかを表します。一般的なモニターやテレビは60回(60Hz)ですが、ゲーミングモニターでは144Hz(144回)など高速で描画を行うことでスムーズでなめらかな映像を楽しむことができます。
輝度
『明るさ』を表しますが、輝度は高ければ良いというわけではありません。スマホやモニターも明るさが最大だと目が疲れるので、調整して暗くする方が多いかと思います。室内で使用するモニターやテレビは『250cd/m2』くらいあれば問題ありません。
コントラスト比
値が大きいほどコントラスト(色のメリハリ)がしっかりした映像を楽しめます。ポイントは『黒がしっかり黒いこと』です。液晶は方式の関係で、どうしても黒が白っぽくなってしまいます。コントラスト比は、パネル方式によって大きく変わり、TN方式やIPS方式よりも、VA方式がコントラスト比は高いです。ちなみに有機ELはさらにコントラストがしっかりとしています。
◆TN方式 / IPS方式の目安
・1000:1程度
◆VA方式の目安
・3000:1程度
◆有機ELの目安
・5000:1程度
視野角
画面を見る時の角度がどれくらいまで許容できるかを表します。メーカーの技術で改善される場合も多いですが、目安をご紹介します。
◆TN方式/VA方式の目安
・80~140°
◆IPS方式の目安
・170°
応答速度(MPRT・GtG)
描画が変化する速さを表します。ゲームで応答速度が遅いと相手の攻撃をよけたつもりで当たってしまうということにつながります。『MPRT』と『GtG(G2G)』の2種類に分けられます。
◆MPRT
・『Moving Picture Response Time』すなわち、動画の反応時間のことです。VESAという映像に関する団体が決めた規格による応答速度の測定方法に従っています。GtGよりも信頼性が高い値です。
◆GtG(G2G)
・『Gray to Gray』すなわち、グレーから別のグレーになるまでの時間です。メーカーが、自分達の都合の良い条件で測定した結果である場合が多いので、参考程度にすることをおすすめします。
色域(sRGB・Adobe RGB)
どれくらいの範囲の色を表現できるかを表しています。一般的には『sRGB』『Adobe RGB』という規格が基準となり、どれくらいの範囲の色彩を表現できるかを表します。下の図で、sRGB(青線)よりもAdobe RGB(赤線)の範囲が広いのが分かります。そのため、sRGBよりもAdobe RGBを基準とした方が多くの色彩を表現することができます。ただ、Adobe RGBは専用のハードウェア等をそろえる必要があるなど注意が必要です
HDR
『明るさ』を表現する能力を表します。明るさが異なる描画をきれいにしてくれます。
①HDR非対応
外の明るさに合わせると室内が暗い
②HDR非対応
室内に合わせると外が明るすぎる
③HDR対応
外と室内のバランスが良い
引用:EIZO-よくわかる、HDR徹底解説!HDRとは
HDRには種類があります。
◆HDR10
・HDRの基本的な規格です。
◆HLG(HLG10)
・一部の放送で使用されるHDR規格です。
◆HDR10+
・HDR10の動きを強化した仕様です。
◆Dolby Vision
・従来よりも4倍の明るさを表現できます。ハイスペックな製品で使用されています。
『HDR10+』や『Dolby Vision』に対応している4Kテレビやモニターは付加価値が高いですが、『HDR10』や『HLG』のみしか対応していないものは、普通ランクと考えてもらった方が良いです。
カラービット(色深度)
一般的なのは、RGB(赤、緑、青)の3色をそれぞれ『8bit(2の8乗=256段階)』で表現することが多いです。0から始まって最高が255の256段階で、赤、緑、青が全てMAXだと『白』になります。ハイスペックなモデルだと、10bit、12bitなどのモデルもあります。
表示色
表現できる色の数です。この前項でご紹介している『カラービット』が8bitの場合は、
256(R) x 256(G) x G:256(B)
→約1677万色 となります。
画素密度(ppi)
1 x 1インチの中に含まれているドットの数を表します。数値が大きいほど細かい表現が可能になります。90ppiくらいが一般的です。
DCR
Dynamic Contrast Ratioの略で、映像を判断して自動でコントラストを調整します。「勝手に明るさが変わるので不便」という批判的な声も多く、設定をOFFにした方が良い場合もあります。
FreeSync
パソコンのビデオカードとモニターの同期を取って描画をすることができる技術です。普通の事務作業では問題になることは少ないですが、動きが激しいゲームではタイミングが合わずに描画が崩れる可能性があるので、ゲーミングモニターは『Free Sync』対応かをチェックすることをおすすめします。
VESA規格(マウント)
VESA(ベサ)という映像機器に関する団体が定めた規格で、壁にかけたり、アームに固定する際に便利なネジ穴の位置や制限重量などを決めたものです。VESA規格に対応していると設置が楽で。
フリッカーフリー
眼精疲労の原因になるフリッカー(ちらつき)を抑制することで目の疲労を抑えます。
ブルーライトカット(軽減)
目に刺激を与えるブルーライトを軽減することで目の疲労を軽減します。
TUV認証
認証機関である『テュフ ライン ジャパン』による認証です。一定水準以上の品質を満たしていることを証明するものです。モニターやテレビでは『フリッカーフリー』『ブルーライト軽減』の技術が一定水準以上だとこの認証を受ける場合が多いです。
読んで頂き、ありがとうございました