【ギャンブル依存症|パチンコ中毒者で家族を失った男の末路
朋樹さん(仮名:33歳)
「本当に自分を人間のクズだと思ったよ」
俺は地元の福岡の大学を卒業後に神奈川の機械メーカーに就職した。俺が初めてパチンコに行ったのは23歳の時だったよ。仕事もそこそこ覚えてきて心に余裕ができた時だった。会社の先輩が「今日の夜は空いているか?」と誘ってきてね。初めて行ったパチンコ屋はたばこの煙が充満して、騒音がすごいって印象だった。3,000円くらい遊んで帰るつもりだったんだよ。先輩から球の買い方とレバーの操作方法を習って始めた。
このパチンコ初日、なんと勝ったんだよ。しかも大勝さ。10万勝ったもん。すごくない?先輩も驚いていたよ。その時思ったのさ。
「俺はセンスがある。パチンコの天才なんだ」ってね。
その日は先輩に焼き肉をごちそうして翌日以降もパチンコをするようになった。初日に勝った10万円は最初の1週間ですっかりなくなってしまってね。ここでやめておけばプラスマイナスゼロで終われたんだけどさ。10万円を取り返すために自分の貯金を下ろしてパチンコ屋に通ったよ。取り返したらやめようと思ってたからね。
俺の貯金は50万円程度はあったんだけど、2か月もしないうちになくなった。だからサラ金(消費者金融)で借りるようになったのさ。「負けた分を取り返したらパチンコをやめればいい」と心の底から考えていた。その頃から平日の勤務後、休日は開店前から並んで閉店まで1日中パチンコ屋で過ごすようになったよ。
実はこんな生活をしながらも俺には彼女がいたんだ。2歳年下で近くの病院で看護師をしている女性だった。その彼女から「あなた最近おかしくない?パチンコに行き過ぎじゃない?」と指摘はされていたけど、息抜き程度だと言い訳していたよ。
そして借金が200万円を超えたあたりからこれはさすがにまずいぞと考え始めた。返済の金額もどんどん膨れ上がって元金どころか利息の支払いだけでも生活を圧迫するようになったんだ。
俺は消費者金融の返済が徐々に滞るようになって返済の催促をする郵便が届くようになってね。それがついに彼女に見つかってしまったんだ。督促状を両手で握りしめた彼女は俺にポツリとつぶやいた。