お得なAmazonタイムセールはこちら

酒気帯び運転|飲んでも寝たら大丈夫と考えた男の末路

読み物

こうして「被疑者」となった僕は警察署での取り調べを受けることになった。取り調べ中は家族や会社をはじめ外部との連絡は一切できなかった。そして、取り調べに対して「協力的」だと判断された僕は翌日釈放された。

僕は1発で免許取り消し。さらに2年間の「欠格期間」が与えられた。つまり、2年間は免許を再取得できなくなった。

自宅に帰ると妻は僕を心配して待っていてくれた。僕が全てを打ち明けると妻は

「バカじゃないの!何してるのよ!」

と、言って僕を責めた。僕は「本当にすまなかった」とひたすら妻に頭を下げ続けたよ。

僕の仕事は車の運転ができないと務まらない。このままではクビになるとあせった僕はいつも親身になって相談に乗ってくれる上司に全てを打ち明けた。上司は

「上層部に相談してみる」

と言ってくれた。しかしその翌日、僕は上司にミーティングルームに呼ばれて

申し訳ないが君を懲戒解雇することになった。これだけ飲酒運転に厳しいご時世に酒気帯び運転で逮捕された社員を残しておくことはできないと。今回は僕も君をかばいきれない。

「懲戒解雇(公務員は懲戒免職)」すなわち会社から下される厳罰処分による解雇。この懲戒解雇になると再就職の際に「なぜ、前の会社を退職したのですか?」と聞かれたときに懲戒解雇されたということを申し出ないと「経歴詐称」として採用取り消し、もしくは採用されても新しい会社から懲戒解雇の可能性が出てくる。

僕は「懲戒解雇」という現実に絶望した。無職になった僕は5社ほど採用試験を受けたけど予想通り退職の理由を聞かれて「酒気帯び運転で懲戒解雇になりました」というと全滅だった。まあ、当然だよね。これだけ飲酒運転に対して世間の目が厳しいのだから。

最初は「一緒に頑張ろう」と言ってくれていた妻も再就職が全く決まらない僕に対して愛想を尽かし、離婚を突き付けて子供を連れて実家に帰った。僕は仕事も家族も失ってしまったんだ。

さらに僕はその後、「略式裁判」にかけられた。初犯で情状酌量の余地があるということで40万円の「罰金刑」が命じられた。懲役刑ではないので刑務所に入る必要はないけど前科は残るので、今後の履歴書の賞罰にはこの前科を記載する義務が生じる。

僕は今は日雇いのアルバイトをしながら養育費を払い、どうにか生きてるよ。軽い気持ちで酒気帯び運転したことでここまで人生が狂ってしまうなんてね。

「日曜日に飲み過ぎなければ」
「代行を使って帰っていれば」
「会社に休ませて下さいと伝えていれば」

何度、後悔しただろう。酒気帯び運転を甘く見た僕は全てを失ってしまったんだ。