名前が似すぎて、ドルビーオーディオ、ドルビーアトモス、ドルビービジョンの違いが分からない・・・簡単に分かりやすく説明して欲しい・・・
ハードウェアエンジニア歴15年で、HDMI機器の設計・開発をしている映像のプロが、ドルビーオーディオ、ドルビーアトモス、ドルビービジョンの違いを簡単に分かりやすく解説します。
ドルビーアトモス/ドルビーオーディオ/ドルビービジョン違い解説
・ドルビーオーディオ
・ドルビーアトモス
・ドルビービジョン
これらは、『ドルビーラボラトリーズ社』が開発した技術という点は共通していますが、「何が違うの？」と混乱する方も少なくないかと思います。今回は難しい話はできるだけしないで、3つの違いを分かりやすく解説したいと思います。
ドルビーオーディオとは
ドルビーオーディオとドルビーアトモスは、音声を圧縮するための方式です。次の図をご覧ください。
| 音響の圧縮方式 | |
| ドルビーオーディオ | ドルビーアトモス |
| ①ドルビー TrueHD 7.1/9.1ch |
①ドルビーアトモス for Home |
| ②ドルビーデジタル 5.1ch |
②ドルビーアトモス for Theater |
| ③ドルビーサラウンド 4.0chなど |
③ドルビーアトモス for Headphoneなど |
上記の表の『ドルビーデジタル』を例にすると、『5.1ch』という数字は、スピーカーが5個、サブウーファーが1個という意味を表しています。ここで確認してもらいたいのは、前後左右の平面上に音響機器を配置していることです。
ドルビーデジタルは、「何の音をどこのスピーカーで強調するか？」を制御することによって、自動車などの物体がまるで移動しているかのような臨場感のある音声を楽しむことができます。
ドルビーアトモスとは
ドルビーアトモスは、先ほどの表でご紹介しましたが、ドルビーオーディオとは異なる種類の音声圧縮技術で『立体音響』とも表現されます。先ほどのドルビーオーディオのドルビーデジタル5.1chが平面でしたが、ドルビーアトモスは立体という点がポイントです。
立体音響の環境を構築すると、前後左右の平面的な音声だけではなく、上下左右に移動したり、上から降り注ぐ音声なども表現することができるため、より臨場感のある音声を楽しむことができます。
ドルビーアトモスの開発元のドルビーラボラトリーズのサイトでは、次のように紹介してあります。
●迫力のある移動するオーディオを作り出す
ドルビーアトモス®システムを使用すると、サウンドが頭上を含むあらゆる方向から流れ、驚くほど鮮明かつ豊かで、細やかな深みのある臨場感あふれる体験が実現します。●サウンドを周囲の至るところに動かす
人、音楽、物のさまざまなサウンドが周囲の3次元空間で動き回るため、自分がそのアクションの中にいるかのように感じられます。
ただ、注意点があります。これは、ドルビーアトモスに限らず、ドルビーオーディオも同様ですが、ドルビーアトモスを楽しむためには、コンテンツ（映像や関連機器など）や、機器がドルビーアトモスに対応している必要があります。
また難しい話は避けますが、覚えておいて頂きたいのは、ドルビーアトモスに対応だと、ドルビーオーディオも含むという点です。ドルビーアトモスは音声に関するドルビー規格を1つにまとめた規格という側面もあり、ドルビーアトモス対応のテレビを選択しておけば、ドルビーオーディオも対応になります。
ドルビービジョンとは
先ほどのドルビーオーディオ、ドルビーアトモスが音声に関する圧縮技術でしたが、ドルビービジョンは全く異なります。ドルビービジョンは、音声ではなく映像を美しく表現するための技術です。まずは次の3枚の画像を比較してみてください。
HDR非対応
外の明るさに合わせると室内が暗い
HDR対応
外と室内のバランスが良い
室内と外のように、明るさのバランスが大きく違う映像の場合は、暗くなったり、白飛びしてしまいます。これを防止するための技術が『HDR』と呼ばれる技術です。HDRには、いくつか規格がありますが、現在最も美しく明暗を表現できるHDR規格がドルビービジョンです。
HDRについては『4KテレビのHDRは難しい？簡単に分かりやすく解説』でも解説していますので、よろしければどうぞ。
まとめ
今回の内容を簡単にまとめると次の通りです。
●ドルビーオーディオは、平面の音声圧縮技術でたくさんの種類がある
●ドルビーアトモスは、上下も加えた立体音響技術。ドルビーアトモス対応は、ドルビーオーディオにも対応
●ドルビービジョンは明暗を美しく表現するHDRのハイグレードな規格
読んで頂きありがとうございます。参考にしてもらえるとありがたいです。