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ヒップホップのラッパーにあこがれて人生が狂った男の後悔と末路

読み物

「コネ」だよ。どんなに曲が良くてスキルがあってもコネがないと音楽業界で成功することは不可能だと知ったんだ。表に出てくる連中は有力者のコネが絶対にある。コネがないと表に出てこれない以前にライブをする機会すら与えてもらえない。それに有力者がバックにいないと圧力をかけられて、つぶされることがめちゃくちゃ多い。自分達が上がっていこうと必死だからね。

そういう現状を突き付けられた俺達はまずは力を持ってそうな人達に気に入られることから始めることにした。あるヒップホップユニットの元で雑用をさせてもらうことにしたんだ。給料?当然ある訳がないよ。あくまで自主的な「弟子入り」だからさ。車の運転や機材の運搬、セットをしたりを無給でするのさ。他にもボディーガードみたいな危険なこともさせられた。先輩のライブの最中に敵対するグループの関係者が金属バットを持ってきたこともあった。それだけじゃなく酔っぱらった先輩から思いっきり殴られて歯が折れたメンバーもいた。すごい世界だったよ。

少しずつ俺達も先輩達のライブの前座とかをさせてもらいながらステージの機会をもらったけど全く人気が出なかった。そんな生活を続けていたら、俺達は気づけば25歳になってたんです。25歳になると同級生が結婚した、子供が生まれたって話を耳にするようになってね。音楽で全く芽が出ない自分達がみじめになって4人組だった俺達のグループから1人抜けて2人抜けて。最後まで俺と一緒にやってたメンバーも熊本に帰るっていうから解散することになったんだ。

そして音楽をあきらめた俺に厳しい現実が突き付けられた。25歳まで職歴なしの俺が就職できるような会社は当然限られていたんだよ。派遣に登録して働きだしたけど正社員と全く同じ仕事をしているのにボーナスはないし給料は安いし「なんでこんなに待遇が違うんだろう?」と怒りを覚えたよ。分かってはいるんだ。だけど、くやしいじゃん。何もスキルも学歴も資格もない俺みたいなやつにはこんな人生がお似合いなんだろうな。人生本当に狂ったよ。音楽に夢を見て「自分らしい人生」「夢」とかそういう言葉にだまされたんだろうな。