僕はこの彼氏は実は嫌いじゃなかった。お酒が入ってちょっと気が大きくなっていただけで、今回の友人Xの友達の中では割と話しやすい良いやつだった。
「はいはい、良いからとりあえず乗れ」
と、3人で病院の救急外来に行った。病院に到着して処置が終わったら、さっさと帰ろうと思っていたけど、なかなか進まない。その理由は、
その釣り針が刺さった女が看護師で、処置してくれる看護師さんに、いちゃもんを付けまくったからだった
この釣り針が刺さった女は地元では有名な病院の看護師として勤務していた。処置してもらう立場のくせに「私が上よ」というような意味不明なマウントをとって、対応してくれる看護師さんを困らせた。
「その薬品を使うんですか?この場合はあれですよね?」
「その方法違いますよね?」
「包帯の巻き方、私が教えましょうか?」
僕は思った。
(てめー、立場分かってんのか?お前は赤チンでも付けときゃ充分だ)
ようやく処置が終わり、支払いになった時だ。
「私・・・財布忘れた」と女。
「あ、俺も」と女の彼氏。
(てめーら、一体何なんだよ!!)
心の中で絶叫したけど、僕はもう早く帰りたかった。
「俺が出しておく」
と言って、支払った。本当に何なんだ。この意味不明な「同窓会」は。
(あー、来なきゃ良かった)
そして、病院から会場に戻った。すると奇跡が起きた。
来てくれた友人A
誘ってくれた友人Aが来ていた。
「ごめん!遅刻した!」
(あー、お前に本当に会いたかった・・・)
そして僕は友人Aをロックオンし、金魚のフンのように友人Aから離れなかった。
(A・・・お前以外、ここでは話し相手がいないんだ)
とりあえず、友人Aが来てくれただけで、僕はこの同窓会は「楽しかった」と思うことができた。