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【実話】株の空売りで失敗して破産を覚悟した話|ストップ高の踏み上げで焼かれかけた悲惨な体験

読み物

「・・・大丈夫か?めちゃくちゃ顔色が悪いぞ。今日は定時で上がって良いから」

この日、僕は5時半に退社した。帰宅すると妻がこう言ったんだ。

「今日は早いのね。外食でもしようか!」

妻は僕が空売りしたことを知らない。そして全国チェーンの中華料理店の「王〇」に行った。僕達夫婦はここの料理が大好きだったけど、その日の僕は食欲がなくて何ものどを通らなかった。食事中も空売りしたことをひたすら責めた。

(バカだ、俺はバカだ。本当にバカだ)

外食から帰ると妻に体調が悪いと言って21時に就寝した。

「病は気から」

本当にそうだと思った。空売りしてしまった銘柄がストップ高に張り付いた恐怖で完全にダウンしてしまった。

その日、WLWは「売り禁」が発表された。簡単に説明すると新規の空売りは禁止という規制がされた。こういう規制が入るとその銘柄の取引をする人が減って株価が下がりやすくなるから「売り禁後の売玉は金の卵」すなわち「空売りした人はラッキーだったね」と言われることがあるけど最近では売り禁後に上がる場合も多いということが調べて分かった。

その晩は本当に一睡もできなかった。不安で不安で仕方なかった人生最悪の夜。

そして翌日。勤務前に寄り前の板をおそるおそるチェックした。

「WLWはストップ高に張り付いていた」

(やばい、やばい、やばい・・・)

再度、腹痛が襲って来る。冷や汗が全身から出る。

(もう・・・終わりだ・・・)

僕はどれくらいの損失を抱えるのだろう。何日ストップ高が続くのかな?底なし沼の恐怖が襲ってきた。

しかし、事態は急展開を見せる。見せ板(うその注文)もあったんだろう。寄り付き1分前から板に変化が見られ始めて、その日のストップ高の709円に対して689円で寄り付き、その後に暴落を始めた。ずるずるというよりも「ドカーン」という表現が適切だった。

下がって下がって下がり続けて615円付近でモタモタし始めた。僕はそこで「損切り」をした。マイナス10万円の負け。でも心を蝕む「悪魔」が消え去った瞬間だった。損はしたけど気分はすがすがしかった。腹痛も収まった。WLWはその後も下がり続けて565円でその日の取引を終えた。

僕は600円で空売りをしたから持ち続けておけばプラスになったけど、僕の精神は耐えられなかった。だから損切りして良かったと心から思っている。

この出来事を経験して僕は「2度と空売りはしない」と決めた。さらに付け加えると「信用取引」自体をしないと決めた。株取引は「現物買い」だけ。眠れなくなるようなストレスを感じる取引はもうこりごり。

もちろん信用取引を否定するつもりはない。ただ僕は信用取引を使いこなせる器ではなかったと痛感した。株は現物買いで楽しめる範囲で続けていきたい。