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信用取引で大損|ライブドアショックで破滅した男性の末路

読み物

いろいろと世間で話題になっていた堀江貴文氏が率いる会社だった。そして、2006年1月10日。僕は軽い気持ちで人生を大きく変える買い注文を出した。

670円で50,000株。総額で約3,400万円分のライブドア株を信用取引で購入した。

購入後からすぐにライブドア株は上昇をして、1月15日の時点で699円。150万円近くの含み益が出た。僕はこの時には暇さえあれば証券会社の口座を開いて含み益を見るのが楽しみになっていた。

やはり自分は天才。勝ち組。今が人生の分岐点。

(仕事をやめよう。株で食っていけるし)

しかし、これらはその翌日に全て、はかなく消えてしまうんだけどね。何度、後悔しても戻れないんだな。

翌日の1月16日は僕は上司に何度も怒られたこともあり、嫌気が差していた。

(ちくしょう・・・僕は天才投資家だぞ)

むしゃくしゃしながら、自宅に帰ってテレビをつけた。

「東京地検がライブドアを家宅捜索」

(え?か、家宅捜索?)

Yahoo!ファイナンスの掲示板を確認するとライブドアに書き込みが殺到していた。ただでさえ世間から注目を集めているライブドアだ。保有している人も多いから掲示板もざわついて当然だ。そこにはこんな書き込みが多かった。

「明日はストップ安だな」

(ストップ安!?ちょっと待ってくれ。ストップ安なら僕は大損だぞ・・・)

値幅があるから最高で1日マイナス100円。僕は50,000株持っているから・・・

1日マイナス500万円!?あり得ない!これはやばい!

胸が締め付けられたように苦しい。しかし、こうなってしまっては仕方がない。

僕は明日『損切り』をすることに決めた。まあ、投資人生にこういうこともあるさと最初は楽観的に考えていた。しかし、寝る前に脳裏にふと浮かんだ。

ストップ安が数日続いたらどうなる?毎日500万円のマイナスだ。

とにかく、僕は全てのライブドア株を明日売却することにした。

翌朝、僕は会社に出勤前にライブドア株を成り行きの売り注文を出した。就業前の8:20に寄り付き前の板を確認して驚愕した。

(な・・・なんだこれ?)

「ストップ安」

売り注文がどんどん増え続けていく。手が嫌な汗でベタベタとしてくる。心臓のドクンドクンと激しい音が聞こえる。しだいに腹が痛くなってきた。

(頼む・・・頼むから、ストップ安でも良いから売れてくれ)

僕は発狂しそうになりながら、仕事が始まった。全くはかどらない。株価が気になって仕事が手につかない。

上司から3回くらい怒鳴られても、株のことで頭がいっぱいだ。さすがに僕の様子がおかしいことに上司が気づき、話しかけてきた。

「・・・大丈夫か?様子が変だぞ。悩みがあるなら相談しろよ」

僕は「ありがとうございます。大丈夫です」と上司に返答した。

マイナス500万円

この日、失った金額だ。僕は仕事が終わってから証券会社の口座を確認して驚愕した。年収300万円の僕の年収以上の金額をたった1日で失った。しかし、これはまだ確定ではない。

明日も、あさってもストップ安ならどうなる?1,000万円、1,500万円のマイナス!?

(やばい、やばすぎる)

僕は現実から逃げてしまいたかった。もう精神が持たない。その日は21時に就寝しようとしたけど、眠れない。

株なんて・・・株なんてしなければ良かった。もう信用全力なんて無理はしないから頼むから・・・お願いします。売らせてください・・・

僕は布団の中で1人で泣いた。

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